はっぴいえんどメモ

今では考えられぬことだが、30年前の日本では「果たして日本語がロックのリズムに乗るのか?」という論争が真剣に行なわれていた。その台風の目になっていたのが黎明期の日本ロックを代表するグループ、はっぴいえんどである。69年に細野晴臣(b)、大滝詠一(vo&g)、鈴木茂(g)、松本隆 (ds)の4人によって結成され、70年、アルバム『はっぴいえんど』でデビューする。バッファロー・スプリングフィールドやモビー・グレープなど当時最先端であったアメリカン・ロックのテイストと、日本文学風の詞を融合したオリジナル日本語ロックは、発表と同時に前述した論争を巻き起こしたのだ。つづく『風街ろまん』は、高度経済成長によって失われてしまった東京の原風景に対する郷愁や喪失感を綴った松本の歌詞と、卓抜した演奏力によって洋楽ロックに引けを取らないサウンドを創り上げ、バンドのひとつの到達点となる。その後、解散が決定している状況下のなか、ロサンゼルス録音によるラスト・アルバム『HAPPY END』を発表。最後に収められている「さよならアメリカ さよなら日本」は、“アメリカ・ロック・シーンからの影響"と“正当な評価を下せない日本への決別宣言"とも取れる。実質3年間という短い期間の活動だったが、その後のロック・シーンに与えた影響は計り知れず、現在もそのフォロワーは後を絶たない。そして解散後の4人の活躍は説明するまでもないだろう。

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